一試合で一人の投手が『勝利投手』と『セーブ』を記録!?その理由について解説!

記録の雑学

実はプロ野球の歴史で一度だけ、一試合で一人の投手が「勝利投手」と「セーブ」の両方を記録したことがあります。

「そんなことができるのか?」と思う方が多いと思いますが、実はできるんです。
正確にはできたんです。

この記事は、プロ野球で記録された一試合での「勝利投手」「セーブ」同時達成について解説します。

記録が生まれたのは、1974年の出来事

一試合での「勝利投手」「セーブ」同時記録が達成されたのは、1974年8月18日の日本ハム対近鉄戦です。

日本ハム先発の高橋直樹は、5回まで3安打無失点の好投、2-0とリードして迎えた6回も2三振を奪い、2死一塁の状況になりました。
次打者・ジョーンズに2球ボールを続けたところで、日本ハムの中西太監督は左腕・中原勇をワンポイントリリーフに送りましたが、このとき高橋は三塁を守ることで、ベンチに下がりませんでした。

ジョーンズを苦手とする高橋を、一時的に避難させるための奇策でしたが、代わった中原勇がジョーンズに四球を与えると、高橋が再びマウンドに上がり、次打者を打ち取りました。
結局、高橋は9回にジョーンズの一発で1点を失ったものの、この試合を投げ切り2-1で逃げ切りました。

このときに記録されたのが、『一試合で一人の投手による勝利投手、セーブの同時達成』でした。

なぜ勝利投手とセーブが同時達成されたのか?

プロ野球でセーブが記録されるようになったのは、1974年からです。
そう、まさに上記の同時達成は、セーブが公式記録として残るようになった初めの年でした。

1974年のオフに、「一試合で同じ投手が勝利投手とセーブを記録するのはおかしいのではないか」という声が挙がります。
その結果、翌1975年から、「勝利投手とセーブ両方の要件を満たした場合に、勝利投手を優先し、セーブを記録しない」と改められました。
これにより、高橋直樹が達成した一試合で勝利投手、セーブの同時記録は、プロ野球に残る最初で最後の記録となりました。

現在ではセーブの要件の一つに、「勝利投手の権利を持たないこと」がありますので、同時達成はできません。

セーブ導入元年のみ達成することができた記録ですが、プロ野球史に残る珍記録となりました。

とのま
とのま

こういう珍しい記録が残るのは選手として嬉しいですよね。どんな偉大な選手でも抜くことができない記録ですからね。

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